80年代のR&B男性シンガーの大きな指標は「セクシャル・ヒーリング」と「ロック・ミー・トゥナイト」だった、と言い切ってしまってもかまわないでしょう。

 そして、そういう 雰囲気を纏ったシンガーがたくさん出てきました。

    セクシャル・ヒーリング ×ロック・ミー・トゥナイト路線で最も成功したのがグレゴリー・エイボット。思いっきり薄味にして飲みやすく仕上げたことで、ポップチャートの方で1位を飾ることになりました。1986年作。
 
 この曲の大ヒットもあって、1987年にはこういうタッチのサウンドを取り入れたR&B男性シンガーがどんどん出てきます(そして結果的にトゥマッチになって消えて行くことになります)。

 次に紹介するのは、当時の”R&B通”から無茶苦茶評価が高かったグレン・ジョーンズ。昔からの古いソウル・ファンは甘みの強いソフトなボーカリストには総じて辛口で、彼のようなゴスペルのバックグラウンドがしっかり感じられるような人が評価されていました。そんな彼も87年にはこんな曲を。ユージン・ワイルドの「Don't Say No Tonight」あたりと近いテイストがあります。


 こちらはもっと通好みのジョージ・ペタス。1987年にリリースしたアルバムのオープニングは、ホイットニーの「You Give Good Love」を書いたLaLaの作品でした。

 アレキサンダー・オニールがブレイクした「Tabu」レーベルの隠れた名シンガー、ジェイムス・ロビンソン。これまた1987年リリースのデビュー作から。

  1987年にアルバムを一枚リリースしたきりのシェリック(1999年に他界)。L.T.Dやエンチャントメントの仕事で知られてているマイケル・ストークスのプロデュースでした。

  続いてNY出身のマイルス・ジェイ。1987年のデビュー曲はR&Bチャート5位まで上がりました。
 
  あのHIPHOPのデフジャムまでがこんなアーティストを!チャック・スタンレー、1987年。
 
  
 このセクシャル・ヒーリング×ロック・ミー・トゥナイトの路線の白眉というか、最高傑作はこれだと僕は思っています。1987年年末のNO.1ヒット。R&B男子のまったりセクシーミディアム路線は、それが好きな僕ですらいい加減食傷気味だったところだったので、このロジャーのヴォコーダーとミックスした軽やかなスタイルは、ご本人の意図はわかりませんが、同じタイプばかり生まれるシーンへの軽いパロディーにすら思えました。この曲の大ヒットに合わせるように、このサウンドの流行は徐々に下火になります(ただ、消えはせずにしつこく残りましたが)。そして、この曲とクロスオーバーするように同時期に革新的な新しいサウンドが現れ 翌88年にはシーンを席巻するようになりますが、それはまた次回に。